ダッチオーブンの底

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【アメリカ株】株価に上昇余地!?【メドトロニック】

今回は、上昇余地がある、アメリカ株「メドトロニック」についてご紹介します。

承認されれば市場規模は3倍以上に世界最小の心臓ペースメーカーに関するビッグニュース。新たな研究の結果、医療機器大手メドトロニック(MDT)の単腔ペースメーカー(心房または心室のみを刺激するタイプ)「マイクラ」は、房室ブロック(AVB)という現象にも対処できる二腔ペースメーカー(心房と心室の両方を刺激)としても利用可能であることが判明した。同社は適用範囲の拡大を申請中で、承認されれば対象市場が近々一気に広がることになる。メドトロニックは業績も好調。フリーキャッシュフローが拡大しているほか、急成長分野へのシフトを進め、決算発表は14四半期連続で予想を上回っている。第2四半期(8-10月)の決算発表は19日の寄り付き前だ。株価は本誌が推奨した2年少し前から大きく上昇し、48%のリターンを記録。同じ期間のS&P500指数のリターンは32%だった。予想株価収益率(PER)が現在19倍で、配当利回り2%の同社株は、今なお魅力的に見える。同社を1949年に共同設立したアール・バッケン氏は、世界初の装着型・電池式心臓ペースメーカーを開発。1960年代には薄い靴墨の缶程度の大きさの埋め込みタイプの生産を開始し、販売は拡大した。サイズは近年になってクッキーほどの大きさまで小さくなり、鎖骨下を少し切開するだけで埋め込めるようになった。こういった画期的な製品と比べても、2016年に発売されたマイクラは衝撃的な新製品だった。サイズは競合製品のわずか10分の1で、カプセル剤程度。太ももから血管カテーテルを通して心臓に直接装着可能なため、リード(導線)が感染症を招くリスクも、胸にスペースを確保する必要もない。価格は競合製品の3倍だが、単腔ペースメーカー市場でのシェアは短期間で60%に達した。ただし、この市場の規模はペースメーカー市場全体の16%にすぎない。メドトロニックは40%を占める二腔ペースメーカー市場へのマイクラ投入に向けて動いており、全て順調にいけば来年初めにも実現する見込みだ。2015年に大手医療機器メーカーのコヴィディエンを買収し、規模を倍にして本社をアイルランドへ移したメドトロニックは多角化しており、全体の成長性は一製品だけに左右されない。2019年4月期の売上高は前期比2%増の306億ドルだった。このうち、ペースメーカー、除細動器、人工弁、ステントなどを扱う循環器部門は115億ドルで、低侵襲処置関連機器が85億ドル、脳や脊髄向けの特殊装置が82億ドルとなっている。その他、埋め込み型インスリンポンプなどの糖尿病関連機器も製造している。■成長性を秘めたディフェンシブ銘柄そんなメドトロニックだが、ウォール街に正当に評価されておらず、マイクラはその典型例だと、JPモルガンのアナリストであるロビー・マーカス氏は指摘する。来年には脊髄刺激装置、血糖値測定器、尿失禁治療機器の新製品が投入される予定で、高血圧症治療機器と除細動器の臨床試験の結果も出る。同社の見通しでは、今期の売上高成長率は3.3%に上昇し、来期は4.9%、その翌期は5%に伸びる予定だ。計画通りにいけば、利益率の上昇、フリーキャッシュフローの拡大、そして自社株買いに伴い、1株当たり利益(EPS)は今後数年で7%~10%は増えそうだ。前期はフリーキャッシュフローが36億ドルから59億ドルに伸び、配当よりも自社株買いに若干多額を費やした。今年6月には配当支払い額を8%引き上げると発表し、増配は42年連続となった。短期的な株価の動きは予想しづらい。第2四半期決算のコンセンサス予想は売上高が76億6000万ドル(買収効果を含まない内部成長率3.4%)。EPSは4.9%増の1.28ドルで、ここ数年の傾向に従えば、これを数セント上回る可能性は十分にある。売り上げ見通しも、保守的ながら引き上げられる可能性がある。とはいえ、これが投資家にインパクトを与えるかどうかは別問題で、14四半期連続でアウトパフォームする中、決算発表日に株価を上げたケースは9回にとどまっている。長期的には、メドトロニックは業績も株価も変動が小さく、生活必需品セクターや公益事業セクターのようなディフェンシブ株とみなすことができる。ただし成長の潜在性は、これらのセクターよりも大きい。15日現在の株価約112ドルに対し、マーカス氏は2020年12月の目標株価を122ドルに設定。配当を含めたリターンは11%となる計算だ。株主なら引き続き保有すべき銘柄、景気変動への耐性が高い企業を求める投資家ならポートフォリオへの追加を検討すべき銘柄と言えるだろう。